公務員を退職するのはとても不安ですよね。

「公務員から民間企業に転職するなんてよほど変わり者だと思われる」

「公務員の仕事は民間企業では役に立たない」
私自身もそんな情報をネットで見ては、

「もうどんなに辛いことがあっても、我慢するしかないのかもしれない…」
と落ち込んでいました。
ところが、最近ではネット上で元公務員であることを明かしている人も少なくありません。
今回は元市役所職員で、現在Web制作会社で働くアヤトさんに、公務員から民間企業への転職の実態について聞いてみました。
- 公務員→民間への転職ってどうだった?
- 転職活動で大変だったこと
- 実は元公務員でよかったこともあった
そんなことがわかるインタビューです。
「民間企業への転職を考えているけれども、実際にどんな感じなのか気になる」という方は参考にしてみてください。

公務員の休職・退職についてとても丁寧に書かれているブログです。私自身もアヤトさんの休職や退職の体験談を見て励まされました!
公務員の退職理由・民間企業への転職について
——まず、公務員を退職された理由からお伺いします。
大きな組織が合わなかったからです。
私は休職を2回していて、1回目の休職のときはかなり忙しい部署で残業も多く、嫌だなと思う人もいるような職場でした。
このときに1度辞めようかと考えたのですが、異動したら変わるかもしれない…と考えて、復帰して働きました。
ところが異動した後、またメンタル不調になり2回目の休職をしました。そのときに「私には大きな組織が合わないんだ」と気づき、辞める決心がつきました。
公務員を退職した人の中では、公務員の仕事が合わなかったとか、人間関係が辛かったとかとよく聞きますが、私は公務員の仕事は好きでしたし、人間関係も良好で、退職してからも連絡を取り合っている人はいます。
——転職活動はいつされたのですか?
退職してからです。市役所の仕事とは全く違う業種で、一から勉強が必要だったので、退職から転職まで3か月ほど勉強していました。
——転職先が決まっていない中で、退職を決めたのはすごく勇気のある決断ですね…!「勉強すれば転職は成功する!」という自信があったのですか?
実はなかったんです(笑)田舎に住んでいたので、Web制作会社自体少なかったですし…。
「やってみたいことだからがんばろう!」と勢いで辞めてしまった部分もあります。でもWeb制作の勉強や生活費でどんどん貯金が減ってしまい、不安で体調が悪くなってしまったんです。
ちょうど居酒屋を経営している友人が「ちょっと手伝わない?」と誘ってくれて、バイトをしながらWeb制作の勉強をしていました。
Web制作の仕事自体をすごくやりたかったので、もしだめだったらまた別のやりたいことを探そうと思っていました。
あとは休職し続けるのも申し訳ない気持ちがあり辛かったので、退職を決めました。

結婚&夫の転勤で引っ越しをして、今は在宅で働いています
——転職活動はどうやってしましたか?
Web制作会社で働いている知り合いに直接アプローチしました。
地域のボランティア活動に5年くらい参加していたので、民間企業勤務の知人がたくさんいたんです。
偶然にもわたしが働きたい職種の知り合いがいたため、直接「働きたいです!」と声をかけにいきました。
1社目で決まりましたし、一般的な転職活動のように転職エージェントに相談して…ということはしていないので、ちょっとイレギュラーかもしれませんね。
——転職活動で大変だったことはありますか?
小さな会社への転職だったので、即戦力として働ける技術が求められていたことです。
Web制作業界での転職活動では、自分が今どういったサイトを作れるかを示すポートフォリオが必要になります。
自分がどのくらいの期間でできるか感覚がわからないまま「ポートフォリオサイトを1週間で作ります!」と言ったものの、ぜんぜん間に合いそうになくて大失敗。笑
それでも徹夜しながらなんとか作りました。
一生懸命作っても採用してもらえるかわからないので不安でしたし、一人で作っているので孤独な作業で、夜中に涙が出てくることもありました。
——民間企業に転職して良かったと思うことはありますか?
「少人数の会社で働きたい」という希望が実現できたことです。
市役所は少人数の部署があっても異動がありますし、仕事全体で見ると大人数との関わりが必要になってくるので、合わなかったんだと思います。
今は私含めて4人の会社なので、会社というよりチームで働いている感じがします。
また、Web制作は公務員では経験できない業種なので、刺激も感じていて楽しいです。
——逆に公務員の方が良かったなと思うことはありますか?
やはり全体的な待遇面や保障面はしっかりしていると思います。
公務員時代に病気の手術をしているのですが、そのときも治療に専念できるように休ませてもらえましたし、激務部署を除けば有給休暇も取りやすかったです。
元公務員ならではの大変なこと・良かったこと
——転職活動で、なぜ公務員を辞めるのか不審に思われるなんて話を聞きますが、アヤトさんはそういったことはありましたか?
私は全然聞かれなかったですね。
元々知り合いだったのもあると思いますが、辞めた理由さえも聞かれませんでした。
採用してくれた人も転職を何度もしていたので、転職自体が珍しいと思っていなかったのかもしれません。
転職活動のときに、公務員ならではの嫌な経験自体がありませんでした。
——転職後に、「これは元公務員だから苦労しているのでは…」と感じたことはありますか?
真面目すぎたり、堅くなりすぎたりしてしまうことですね。
公務員は規則がたくさんあり、それに沿って仕事をしていく感じでしたが、Web制作は創造力を働かせて新しいものを作っていくので、真面目さや堅さが遮っていると感じることがあります。
特に転職したばかりの頃は「堅くなりすぎないでね」ってよく言われました(笑)
公務員時代の確認グセが抜けないので、転職してから「そこまで気にしなくていいんだ…」という気づきが新鮮です。
——公務員の転職に関するネガティブな情報で「公務員の経験は民間企業で役に立たない」なんて話を聞くことがありますが、今の仕事をしていて、元公務員だからこそ活かせていることはありますか?
業種が全く違うので、公務員の仕事が直接活きていると感じたことはほぼないですが、無駄とも思わないですし、一つのキャリアだと考えています。
良かったことは人脈ですね。働いていた市役所と今の会社が同じ地域にあるので、知りたい情報があるときに知人がいるので、市役所に問い合わせしやすかったです。
もちろん退職しているので、内部の情報を教えてもらうという意味ではなく、内容は市民が問い合わせて回答されることと同じなのですが、知り合いなので問い合わせがスムーズでした。
あとは退職後も公務員として働いていたことは信用が高いと感じることはありました。
公務員辞めたいと思っている人へ「人脈を広げることがおすすめ」

白を基調として作業環境を整えています
——公務員を辞めて民間企業に転職したいと思っている人にアドバイスはありますか?
なぜ辞めたいと思っているのか、理由をしっかり分析した方がいいと思います。
新卒で入ったひとつ目の部署がつまらないことを理由に、すぐに辞めるのはもったいないな…と。
公務員そのものがあまりにも合わないとか、公務員ではできない仕事がしたくなったとか、人間関係が無理すぎるとか…あとは自殺を考えるくらい精神的に辛いとかなら無理はしない方がいいと思います。
ただ、休職制度もしっかりしているので、自分が感じている辛さは公務員を辞めないと解消できないものなのか、辞めた後どうするかとか、じっくり考える時間を設けてみてもいいかもしれません。
それから職場以外の人との繋がりを作ることがおすすめです。
プライベートな場で公務員だと知られると、「嫌味を言われるのではないか」「攻撃されるのではないか」と考えている人もいると思いますが、私の場合は地域でボランティア活動をしていたことが転職につながりました。
そこでは公務員だからといって嫌なことを言ってくる人はいませんでしたし、地域を良くしたいと思って集まっている人たちなので、むしろ歓迎されました。
公務員だけの人間関係ですと、どんどん視野が狭くなってしまうと思いますが、民間企業の人と繋がりができることで、外の世界も見えてくるかもしれません。

知人の紹介で転職というルートは想像していませんでした!
転職のことを抜きにしてもアヤトさんの言うとおり、公務員だけのコミュニティだけだと視野が狭くなってしまうので、外との交流は意識的にした方がいいのかなと感じました。
また「貯金がどんどん減っていったことが不安だった」とお話されていましたが、公務員を退職するなら貯金は本当にあった方がいいと思います。
例え転職先が決まってから退職したとしても、転職先が合わなかったときに貯金がないと精神的にきつくなるだろうな…と考えるからです。
基本的に副業ができない職業である以上、貯金は本当に大事だと思います!
公務員を辞めたくて悩んでいる方はこちらの本も参考になるかもしれません。