“普通”に働けなくなったことと、ジェンダーやフェミニズムについて取材・執筆する理由

フリーランス・独立

ライターとして働き始めて3年目になりました。

今の執筆・取材ジャンルはジェンダー・フェミニズムを始めとして、社会問題や人権問題に関するものがほとんどです。

ジェンダーやフェミニズムに興味を持った理由や、仕事への思いを書いたので、私のお仕事に興味を持ってくださった方は読んでいただけますと幸いです。

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セクハラが原因で休職・退職

まず、ジェンダーやフェミニズムの分野に興味を持ったきっかけからお話します。

学生時代にLGBTQ当事者の友人がいたり、大学でジェンダーに関して学ぶ機会があったり、ジェンダーに関して考えることは多かったのですが、本格的に興味を持ち始めたのは、前職でセクハラ被害に遭ったことでした。

被害そのものもですが、相談した後の職場の対応にも傷ついたものの、転職する勇気はなく我慢をし続け、限界を迎えました。

当時、Twitter上でフェミニズムの情報に触れる一方で、自分を責めてしまうことも多かったです。今は「自分は悪くなかったんだ」と心から思えるようになっているものの、そうなるまでには何年もかかりましたし、未だに仕事で男性と関わることに恐怖心があり、新しくお仕事をする際には、原則女性に担当してもらえるかを確認しています。

最初はジェンダーやフェミニズムのことを書くつもりはなかった

今は共通の知人がいて、かつ性暴力に明確にNOを示しているなら恐怖を感じない男性もいるのですが、前職をやめた当時は「男性と仕事で関わるのは一切無理」という状態。

なので、フリーランスという働き方しか選択肢が見つからず……幸い前職で文章を書く機会はあり、未経験でもできそうな仕事がライターしかなかったところから始まりました。

フリーランスになった当初から「ジェンダーのことを書きたい」という思いはあったものの、Twitterでよく見かけるライターさんたちはフォロワーが多く、Twitterでも惹きつける言葉を呟かれていて、「私には無理」「私のような人間が書いてはいけない」と諦めていました。

本当に書きたいことに向き合った

その後、田舎フリーランス養成講座(現・ワークキャリア)を受講し、自分がどんなことにやりがいを感じるのか、本当に自分が書きたいことは何か、考える機会に直面。

そのときに、「自分と同じような経験をする人を減らしたい」「性暴力のない社会の実現に向けて自分ができることをしたい」という思いが強く、ジェンダーやフェミニズムについて書きたいという気持ちが抑えきれなくなりました。

社会を良くするためであって自分のためでもある

「自分と同じような経験をする人を減らしたい」「性暴力のない社会の実現に向けて自分ができることをしたい」という思いは、“社会のため”に見えるかもしれませんが、自分のためでもあります。それは今の社会が私にとって生きづらい社会だからです。

セクハラ被害に遭ったときにハラスメント窓口に相談しましたが、構造的な問題を感じたり、上司から「毅然とした態度でいてください」という指示を受けたり、人事異動のタイミングで配慮はしてもらえたものの、絶対に接触を避けられるわけではなく、安心して働ける環境ではありませんでした。

実質、我慢か退職の二択しかないような状況。でも、仕事自体はやりがいを感じていたので辞めたくなかった。

先述したとおり、今でも恐怖心があるので、原則女性に担当をお願いしています。フリーランスなのでそういった働き方ができますが、ただでさえ不安定なフリーランスであるなか、仕事の機会が狭まっているとも感じます。

また、ジェンダーやフェミニズムに前向きな発信をしている媒体だったので、男性への恐怖心があることも打ち明けられましたが、それでも最初はどんな反応をされるかすごく怖かったです。

社会全体で見れば、まだまだセクハラ被害者の心理が理解されていないと感じます。なので、今でもジェンダー・フェミニズム以外の分野では「そんなんじゃ仕事にならない」「まだ気にしてるの」など二次被害を受けるのではないかと怖くて、なかなか応募できません。

また、仕事関係者ではなかったものの、「セクハラが原因で退職した」と話したら、興味本位で「何されたの」って聞いてきた人もいました。

これを書いている2021年7月時点でライター3年目ですが、ライターになった頃と比べ、社会の認識も少しずつ変わりつつあると感じるものの、まだ面と向かって正直に打ち明けることのハードルは高いです。フリーランスは営業も大切なのに、営業の心理的ハードルがすごく高く感じます。

「自分がどんな環境なら働けるか」はフリーランスになるときにかなり考えたので、営業の心理的負担が大きいことも想像していました。とはいっても、セクハラ被害に遭ったことも、それで“普通”に働けないことも私のせいではないので、自己責任でどうにかしなくてはいけない構造には疑問を感じています。

また、フリーランスになってから色々なこと勉強するなど努力はしてきたものの、たまたま未経験でも自分にできる仕事があったり、体調に理解のある人と出会えたりと、運要素がすごく大きく、この問題を“自己責任”で片付けてはいけないと思っています。

私自身、パソコンがあれば仕事ができる時代でなかったら、Webメディアが発達してなかったら、おそらくできる仕事はありませんでした。私と同じようにセクハラが原因で仕事を辞めて、本当は社会復帰したいけれどもできない人はいるだろうと思っています。

もちろん、働くことが正解だとは思っていないものの、社会復帰したいけれどもセクハラ被害のトラウマのトリガーになる要因を避けたいがために、仕事ができない状況は望ましくないのでは。「安心して治療に専念」or「社会復帰したい人がその人の能力が発揮できる環境で働くこと」の選択ができないことを問題だと感じています。

「○○できて普通」は本当に“普通”なのか

性暴力被害に遭ったとき、辛いのは被害に遭った瞬間だけではありません。長期的に影響が続くことがまだまだ知られていないと感じます。

色々な犯罪が「ダメだ」という共通認識があっても0になっていないように、性暴力も0にするのは難しいかもしれません。だからこそ、被害があること前提で、被害者への支援や受け皿が必要だと考えています。

私自身、地位関係性のある男性と関わることへの恐怖心以外は“普通”に仕事ができます。でもそれができないことで、“普通”には働けず、今の社会ではすごく生きづらいんですよね。

もう少し広げて見るなら、社会的に当たり前とされていたり、大人数ができるけれども、苦手なことがある人もいますよね。仕事としてできることはあるのに、とあることができないために、会社員やフルタイムで働くことが難しい、社会になじめない。

「○○はできて当たり前」という考えが薄まれば、そこを配慮し合えるようになれば、働きやすくなったり生きやすくなったりする人は増えるのではないでしょうか。どうやって決まったのかわからないけれども「社会人なら○○できて当たり前」という規範は見直してもいいのではないかと感じています。

とはいえ、私自身にも「社会人なら○○できて当たり前」という規範があった時期もありました。前職でタスク管理やマメな連絡がすごく苦手な後輩がいて、上司が「やる気がない」と叱責している状態で、私もやる気や意識の問題だと思ってしまっていました。それは私自身に「社会人ならタスク管理や連絡漏れがないことが当たり前」という規範があったからです。私自身はタスク管理やマメな連絡は得意な方なのですが、苦手な人もいますよね。後輩をチームでサポートして、後輩の得意なことが活かせるようにすべきだったと反省しています。

これから目指したい方向

社会の空気や意識を変えるためには、興味がある人だけでなく、あまり興味がない人や知らない人にも届ける必要があります。

「Webの記事をしっかり読んでもらうのは難しい」といった話を聞いたことがあるものの、私自身、ライターになる前から記事をしっかり読むタイプだったので、真面目で堅めな記事を書いても読んでもらえると思っていました。ですが、これまで書いてきて、真面目に伝えるだけでは広がらないと感じています。

昨年、実家を出てから自由にテレビが見られるようになりました。「テレビがつまらなくなった」「テレビを見ない人が増えている」とは聞くものの、特にドラマはおもしろいなと思ってよく見るようになりました。ドラマ自体に惹かれていることもあって、エンタメを切り口に伝えることに興味を持っています。

とは言っても、真面目な方向で伝えることも大切だと考えているので、ストレートに問題提起をした取材や執筆ももちろんしていきます。堅い内容だけれど、読まれる文章を追求し続けたいです。

おわりに

最後に、女性の方の担当をお願いしていることについて補足します。

それは自分のパフォーマンスを最大限に発揮するためです。

もちろん、地位関係性のある男性が全員セクハラしようと思ってるわけではないこともわかっています。ですが、私の恐怖心がある以上、仕事のパフォーマンスは落ちてしまいますし、全然セクハラするつもりのない男性に失礼な態度をとってしまう恐れもあります。

お仕事する以上は、自分のできることは最大限に発揮して良い記事を作りたいので、現時点では女性の方にご担当をお願いしています。

今までここまで明確に自分の思いを書いたことはなかったのですが、「社会人ならできて当たり前」とされてきたことに対する、社会的な見方が変化していってほしいという思いもあって書きました。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

思いに共感していただけて、お仕事依頼したいなって思った方はお仕事依頼ページもご参照いただけると幸いです。

プロフィール・実績紹介・仕事依頼
【2021年6月21日更新】 フリーライターの雪代すみれと申します。 お仕事のご依頼をご検討いただいている方は、下記の実績や料金表を参考にしていただけますと幸いです。 プロフィール ・都内の四年制大学卒業(専攻は心理学) ...